こんにちは。
CryptoNeo(@CryptoNeo)です。
Binanceがハッキングで約63億ドルを失い、利用者の損失を補填すると発表しました。
しかし、実際に利用者が心配なのは、「いつ出金できるのか」ということだと思います。
今回は、出金の現状を確認したうえで、CEXとDEXの安全性と危険性を解説していきます。
Binanceで起きたハッキング事件の全貌
事件の流れを押さえておきましょう。
侵害が起きたのは2026年10月29日20時05分UTC、日本時間では30日の朝5時05分です。
狙われたのはホットウォレット、つまりBinanceがインターネットに接続した状態で運用している送金用のウォレットでした。
Binanceは翌30日の発表で、損失を約63億ドルと説明しています。
【出典】Binance公式:Security Incident Update 2(2026年10月30日)
10月31日にはFBIが、この窃盗を北朝鮮の活動として公表しました。
FBIが追跡している活動名はTraderTraitorで、2025年2月のBybit事件と同じ名前です。
北朝鮮のハッカー集団についてはラザルスの記事で解説しています。
【出典】FBI:North Korea Responsible for $6 Billion Binance Attack
ここまでが被害の話です。
では、補填はどうなっているのでしょうか。
資金の補填の進捗状況

Binanceは10月30日の時点で、利用者に損失を負担させず、SAFU(利用者保護のためにBinanceが積み立てている基金)と会社の資金で穴を埋めると表明しました。
11月3日の第6報では、その補填が約95%まで進んだと説明しています。
ここで、冒頭の疑問に戻ります。
補填が95%進んだなら、自分の口座の資産は95%戻ったのでしょうか。
違います。
補填とは、盗まれた分の資産をBinanceが自分の資金で買い戻し、顧客の残高の裏付けを回復することです。
顧客の残高の数字は事件の前から減っていません。
減ったのは裏付けのほうで、それを埋めている最中だ、というのが95%の意味です。
一方で出金は、Binanceの出金システムが動いているかどうかの話です。
事件直後、Binanceは全通貨の出金を止めました。
再開は11月1日から、ネットワーク単位で段階的に進んでいます。
| 日付(日本時間) | 出金の状況 |
|---|---|
| 10月30日 | 全出金を停止。調査と補填の方針を発表 |
| 11月1日 15〜18時 | 第1段階の出金再開。対象はネットワーク単位 |
| 11月2日 | 主要10通貨について、10月31日時点の準備資産証明(PoR)を公開 |
| 11月3日 13時 | 対象の資産・ネットワークを追加して再開 |
【出典】Binance公式:Recovery Update 6(2026年11月3日)
つまり「補填が95%」と「出金できるのは一部のネットワーク」は、同じ日に同時に成り立っています。
自分の通貨が出金できるかは、補填の進捗ではなく、出金画面で自分の通貨とネットワークが有効になっているかで決まります。
11月3日時点で、Binanceは全通貨の再開日を発表していません。
ここまでを読むと、次の疑問が出てくると思います。
Binanceほどの大手でこれなら、CEXに資産を置くことはそもそも安全なのか、という疑問です。
CEXの安全性と危険性
CEXに資産を置くとは、取引所に鍵を預けることです。
自分は残高の数字を持ち、鍵は取引所が持つ。
この仕組みには、良い面と悪い面がはっきりあります。
良い面は、鍵の管理を自分でしなくていいことです。
パスワードを忘れても本人確認で戻せますし、送金先を間違えて資産を失う事故も、取引所内の操作では起きにくい。
日本円との交換も取引所の中で済みます。
悪い面は、取引所が止まれば自分も止まることです。
今回のBinanceがそうで、事件の後、利用者は数日間、自分の資産を動かせませんでした。
補填の方針があっても、出金が再開するまでは引き出せない。
そして補填の方針を出せる取引所ばかりではありません。
2022年のFTXは補填どころか破綻し、利用者の資産は裁判手続きの中に入りました。
筆者はCEXを、取引と日本円の出入口として使う場所だと考えています。
長く持つ資産を置く場所ではありません。
では、DEXなら安全なのでしょうか。
DEXの安全性と危険性
DEXは鍵を自分で持ちます。
取引所に預けないので、取引所のハッキングや破綻の影響を直接は受けません。
これがDEXの安全性です。
ただし、ここに落とし穴があります。
DEXで取引するには、自分のウォレットからDEXへ資金を入金します。
入金した瞬間に、その資金は自分の鍵の下から、DEXのスマートコントラクトの下へ移ります。
筆者が使っているPopDEXでは、入金アドレスが自分のウォレットのアドレスとは別のアドレスで表示されます。
つまり入金とは、PopDEX側が用意した受け取り口へ送る操作で、その後の資金はPopDEXのコントラクトと運営の処理に預けた状態になります。
PopDEXの入金の受け取り口とブリッジについては、BlockSecが監査報告を公開しています。
入口と橋は第三者が検証した、ということです。
一方で、注文の突き合わせや清算の処理はその監査の対象ではなく、運営側の処理に委ねられています。
【出典】BlockSec:PopDEX Dex Topup監査
DEXの危険性は、ここにあります。
鍵を自分で持っていても、入金した分はDEXに預けている。
そしてDEXには、Binanceのような会社の資金による補填の枠組みは公表されていません。
コントラクトが破られれば、入金した分は戻らない前提で考える必要があります。
だから筆者は、PopDEXには取引に使う分だけを入金しています。
入金前に出金画面を開き、手数料と受取先を確認してから使っています。
資金はどこに置くのが安全なのか
ここまでの話を踏まえた、筆者の答えです。
一番安全なのは、コールドウォレットです。
秘密鍵をインターネットから切り離したUSB型のハードウェアウォレットに置けば、取引所のハッキングもDEXのコントラクトの事故も届きません。
紛失や故障のリスクはありますが、復元フレーズを別の場所に保管しておけば戻せます。
次に安全なのが、MetaMaskのような自己管理のウォレットです。
鍵は自分が持ち、接続先と署名内容を自分で確かめる限り、資産は自分の手の中にあります。
その下に、取引に使う分だけを置く場所としてDEXとCEXが来ます。
どちらも「預けている」点は同じで、違いは預ける範囲を自分で決められるかどうかです。
| 置き場所 | 鍵を持つのは | 向いている資産 |
|---|---|---|
| コールドウォレット | 自分(オフライン) | 長く持つ資産 |
| 自己管理ウォレット | 自分(オンライン) | 日常的に動かす資産 |
| DEX | 入金後はDEXのコントラクト | 取引に使う分だけ |
| CEX | 取引所 | 取引と日本円の出入口に使う分だけ |
Binanceの事件が教えているのは、「大手だから安全」ではなく、「預けた分は預け先に依存する」という単純な事実です。
預ける範囲を自分で決める。
それが、今回の事件から持ち帰れる一番実用的な教訓だと思います。
まとめ
Binanceの補填は95%まで進みました。
しかし出金は一部のネットワークから段階的に再開している途中で、自分の通貨が出金できるかは出金画面で決まります。
CEXは取引所が鍵を持つので、取引所が止まれば自分も止まります。
DEXは鍵を自分で持てますが、入金した分はDEXに預けた状態になります。
長く持つ資産はコールドウォレットか自己管理のウォレットに置き、CEXとDEXには使う分だけを入れる。
筆者はそう使い分けています。
よくある質問
- Binanceの補填が95%なら、自分の残高も95%戻ったということですか?
-
いいえ。
残高の数字は事件の前から減っていません。
95%は、Binanceが盗まれた分の裏付けを自分の資金で埋めた進捗です。
出金できるかどうかは別で、出金画面の状態で決まります。 - 出金はいつ全通貨で再開しますか?
-
11月3日時点で、Binanceは全通貨の再開日を発表していません。
11月1日からネットワーク単位で段階的に再開し、11月3日に対象を追加しています。 - DEXに入金した資金は、ハッキングされても自分のウォレットに残りますか?
-
残りません。
入金した資金はDEXのコントラクトに移っているので、コントラクトや運営側の処理が破られれば影響を受けます。
ウォレットに残しておいた資産だけが自分の鍵の下に残ります。 - コールドウォレットを失くしたら資産はどうなりますか?
-
復元フレーズがあれば、別の端末で戻せます。
失くす前に、復元フレーズを端末とは別の場所に保管しておくことが前提です。
本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。
投資は自己責任でお願いします。




